という式が天下り的に出てきていて、これより前のページを見ても説明がされている様子はない(見落としてるだけかも)。 調べると別の文献 [2] が音速と流体の圧縮率の関係式を与えていた。
a2=(∂ρ∂p)s また理想気体の場合に成立する式
p=const⋅ργ これより(等エントロピー流れを仮定の下で)見慣れた音速の式が得られる。
a2=∂ρ∂p=∂ρ∂(const⋅ργ)=const⋅γργ−1=ργ(const⋅ργ)=ργp 上式は理想気体の状態方程式 p=ρRT より以下のように書き換えることができる:
a2=ργp=γRT 基準状態に対して以下の式が成立する。
a02=ρ0γp0=γRT0 話を文献 [1] に戻すと、p. 313の式 (7.76) に音速を求める式が出てくる:
M=TV ここで V, T はいずれも無次元化された値である。 この式についても天下り的に出てきて詳細が書かれていないが、マッハ数の定義式より以下のように導出することができる。
M=aV=a/a0V/a0=γRT0γRTV′=T′V′ 式 (5) を変形すると
p0=γ1ρ0a02 いま圧力を ρ0a02 で無次元化するとして
p′=p/ρ0a02 すると無次元化した基準圧力の値は1/γになる。
p0′=p0/ρ0a02=(γ1ρ0a02)/ρ0a02=γ1 一方、圧力を基準圧力 p0 で無次元化した場合には状態方程式は以下のようになる:
(p′p0)=(ρ′ρ0)R(T′T0) これを変形して
p′=p0ρ0RT0ρ′T′=ρ′T′∵p0=ρ0RT0 したがって、基準圧力で無次元化した場合には圧力は密度と温度の無次元量の積で与えられる。 これはこれで便利。
理想気体の状態方程式
p=ρRT 見慣れたこの式ではなく、以下のようないつもと異なる形で出てくることがある(1次元での表記):
p=(γ−1)(e−21ρu2) 定圧比熱 cp と定積比熱 cv の間に成り立つ関係式
cp−cv=R γ≡cvcp 上2式より cv=γ−11R を得る。 これを変形した R=(γ−1)cv を状態方程式に代入すると
p=ρRT=ρ(γ−1)cvT=ρ(γ−1)ϵ∵ϵ=cvT ϵ は単位質量あたりの内部エネルギーであり、ρϵ で単位体積あたりの内部エネルギーになる。単位体積あたりの全エネルギーをeとすると、内部エネルギーとは全エネルギーから運動エネルギーを差し引いたものに等しい。すなわち:
p=(γ−1)ρϵ=(γ−1)(e−21ρu2) ここの議論は文献 [3] を参考にした。
[1] | John D. Anderson, "Computational Fluid Dynamics: The Basics With Applications," McGraw-Hill Inc. (1995) |
[2] | リープマン, ロシュコ著, 玉田珖訳, "気体力学," 吉岡書店 (1956) |
[3] | 日本航空宇宙学会編, "圧縮性流体力学," 丸善出版 (2015) |